新年明けましておめどとうございます。
昨年11月20日に政府から「デフレ宣言」が出されました。普通に生活している私たちにとっては、いまさら政府は何を言っているのかと、慎重な判断をくだす立場を差し引いても、そのマーケット感覚の鈍さには、少なからず驚かされます。しかし、マーケット感覚の鈍さと冷え込みは歯科界も同様のようです。
昨年、歯科業界のメーカー、小売とも赤字に転落した企業が続出し、歯科医院数の増加もマイナスに転じました。私立歯科大学17校のうち11校が定員割れという事態は、こういった歯科界の窮状を敏感に反映しています。さらに自費治療は、他業種同様に価格破壊、安売りに転じる傾向が顕著になり、デフレは歯科界の中でも吹き荒れる予兆です。このような状況の中、歯科医院はどのような経営指針をとっていくのか、頭を悩ませている院長も多いことと思います。
まず、前提としなければならないのが、年間約140万件の外来数というパイは拡大することはなく限定され、歯科医院は生活者に選択され、淘汰される環境下で経営していくという事実認識が必要です。そういった中、最近多くの歯科医院が低価格戦略を有効な方策としているようですが、果たしてそれはいつまで続くのでしょうか。結局のところ、低価格戦略は従来の保険診療の延長線上にあり、患者の経済状況を基軸とした後進的戦略だからです。また、ユニクロのようなグローバル市場では有効な価格戦略も、利益吸収できる機会が低く限定される歯科医院にとっては、1分9敗の勝者不在の縮小戦略になることでしょう。
混迷極める21世紀になりすでに10年が経過した今、20世紀から生き残ってきたモノを振り返ってみるとわかることがあります。SONYウォークマンを起点とする iPod、マルチパーパスで低燃費なボックス型の車、東急ハンズに代表されるコンセプチュアル商業ビルディングなどは、生活者のライフスタイルに対するメッセージを持っていたり新しい価値への意欲をかき立てたりするものでした。歯科界でも輸入ユニットや白で統一されたデザイナー仕様のインテリアが、生活者の新たな欲求を喚起するとマーケットリーダーのように喧伝されています。しかし、その多くは生活者の不具合を修理する欠乏充足型歯科医院と変わりなく、数年の後デザイナーの名前がプリントされただけのTシャツのように陳腐な代物になるでしょう。求められるのは、ウォークマンが持っていた生活者に届ける強烈なコンセプトです。「この歯科医院はどんな生活を提案し実現してくれるのか」といったコンセプトを発信する希望充足型歯科医院が選ばれる歯科医院となることでしょう。
私たちクレセルは、これからの歯科医院に求められる「美味しさ」「美しさ」「心地よさ」「若々しさ」をデザイニングして生活者に訴求します。そしてマーケッティングを通じて、歯科医院のコンセプトを生活者に伝え、選ばれる価値のある希望充足型歯科医院の創出を支援していきます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
クレセル株式会社 代表取締役 伊藤日出男