「歯周病の拡大解釈」とは

コンサルブログ | 2016年3月23日

去る17日NHK「クローズアップ現代」が終了しました。キャスターを務めてきた国谷裕子さんの健全な批判的視点からのコメントが聞けなくなり、とても残念な思いです。前後して高市総務相の放送局への電波停止命令発言には、唖然とさせられました。中国政府のようなことを言ってのけ、「自由主義政権の総務相とは思えない見識の低さ」とノンポリティカルな私でさえも思った次第です。高市発言と「クローズアップ現代」の終了は、時代の綾でなければ良いのですが。

さて、「クローズアップ現代」での国谷裕子さんと菅官房長官の「集団的自衛権」のやり取りを記憶されている向きもあるかと思います。菅官房長官は「集団的自衛権」の解釈変更の正当性を、「外的要因の変化」と「国民の生命保護」を拠り所としており、その説明に釈然としない私は、あろうことに健康保険制度下でのメンテナンスの保険適用を正当化する歯科医を思い浮かべていました。

「集団的自衛権限定的変更」と「歯周病メンテナンスの保険適用=予防」は、事例解釈を持ち込むことで、どちらも論拠の原理原則が見えなくなっている点が同じです。「集団的自衛権」ならば、憲法9条の理念を前提に解釈されるべきですし、「予防歯科」でしたら健康保険制度下で適用の可否を判断することが真っ当な論理だと思います。

4月からは、歯周ポケット4ミリ以上の限定的算定要件とSPTⅡの新設に加えて「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の施設基準が設置され、本来ならばこれで今まで以上に保険のSPTと自費メンテナンスの使いわけが可能になると思います。これを契機に以前のような保険制度下での歯周病の治療とメンテナンスの意図的な混同をやめることが、今後の予防歯科の患者理解と国民的拡大へと繋がるはずです。

話しは前後しますが、時の政権が電波停止命令をチラつかすのであれば、精神的自由権の中でも最も高次の「信教の自由」がそれ以前に制限されて然るべきですし、「集団的自衛権」を解釈変更するならば憲法9条を改正することが、国民に大義を説くことになると思います。論拠の原理原則を曖昧にして話しを進められると、浅学非才の私には、事の是非以前に、高市さんや管さんの件の発言に“胡散臭さ”を感じてしまうわけです。

予防歯科も同様です。
メンテナンスが保険か自費かで汲々としている歯科医の説明が、「集団的自衛権の解釈変更」さながらメンテナンスは「歯周病の拡大解釈」のように国民に感じられて、理解が深まらない元凶となっているのではないでしょうか。

この事態を見て国谷裕子さんでしたら、「メンテナンスは疾患でないので自費治療になるのが原理原則、このことを初診時に患者にはっきりと伝え納得してもらわないから、国民に予防歯科が浸透しない」とコメントされるのではないでしょうか。

国谷さんの再登板を期待します!