歯科医院は壮年期女性を積極雇用しよう

コンサルブログ | 2016年3月4日

車を運転しながら国会中継を聞いていると、女性議員のいささかヒステリックな声で、保育園に申し込み落選したブロガーのブログを読み上げる声。車を止めてTV画面を見ると、件の議員が待機児童に関する質疑を安倍首相としている一幕でした。この質疑は、待機児童問題を解決する具体的内容にまで掘り下げられることなくタイムアウトになりました。待機児童が解消しない原因は、労働条件の悪さから保育士のなり手がいないこと、保育士雇用政策に問題があることは、厚生労働省資料から見てとれます。保育士の雇用は国庫からの助成金に頼る施設が圧倒的に多く、根本的に歯科衛生士不足とは様相を異にしています。

安倍内閣は女性の活躍推進を成長戦略の中核として、民間企業における役員への登用促進や、女性国家公務員の採用をより一層拡大し、積極的な登用を推進したりして、女性の社会進出のムーブメントづくりをしています。しかし、この雇用政策は、キャリア志向には厚く中間層には薄いことが、朝日新聞社が行った非正規で働く35歳~54歳の独身女性の実態調査からも垣間見ることができます。(グラフ参照)さらに2015年の総務省の労働力調査によると、働く女性の56%が非正規です。そのうち約半数が35歳~54歳で、年収250万円未満が約70%を占めています。先に挙げた保育士35歳の平均年収は約214万円(厚労省調査)ですが、都内の新卒衛生士の年収が約300万円(都内衛生士養成校調査)ですから、歯科衛生士は他業種で働く女性に比べて恵まれています。

歯科衛生士の有資格者243,377人(平成25年)に対して就業者数108,123人ですから、50%以上が未就業者になります。未就業者の全体の約53%、25歳~39歳では約70%が再就職を希望していますが、再就職は進んでいない状況です。その理由の大半は、「勤務時間」と「自分のスキルに対する不安」にあります。この点を解決できれば、再就職が可能なわけですから、他業種で働く女性に比べて恵まれています(甘えている)
(数字は日本歯科衛生士会資料による)。

いくつかの衛生士養成校で聞き取り調査をしてきましたが、就職希望事業所の順位は、社会保障と福利厚生がしっかりしている公的機関、企業歯科、大規模医療法人、さらに医療介護事業者と続きます。有効求人倍率15倍の現在、中規模歯科医院(売上約8千万まで)以下では、新卒求人はノーチャンスなのが現実です。然るに人材・転職エージェントに費用を払い、むやみにアプローチしている歯科医院がなんと多いことでしょうか。

中・小規模歯科医院の歯科衛生士・受付・助手求人は、壮年期(31~44歳)の女性にターゲットを絞り込むことが合理的な求人戦略です。その上で、

  1. 仕事と家庭を両立・調整できる職場環境の構築
  2. 復職・転職支援のPR
  3. 教育/研修の実施

を確立していけば人材確保の見通しはつくはずです。少なくとも、先に挙げた他業種で働く非正規の有能な女性、保育士を受付・助手の人材として確保できるのではないでしょうか。

中・小規模歯科医院は、国の政策や歯科医師会の衛生士復職支援、そして人材・転職エージェント、求人求職サイト頼みから脱して、壮年期女性の積極採用を今すぐにでも始めるべきでしょう。