歯科衛生士の賃上げ1万円時代に突入か!?

コンサルブログ | 2017年4月14日

会社から歩いて数分の播磨坂さくら並木の河津桜は満開です。しかし暦の上では立春を過ぎましたが、まだまだ寒い日は続いています。さてアベノミクスは、暦通りに暖かさを日本経済に運んでくるのでしょうか。今のところ輸出主体の企業は満開の様子ですが、円安の恩恵に無縁な歯科には、芽吹きの気配さえ感じません。これから春闘本番を迎え、歯科も従業員の昇給に頭を悩ます季節になりそうです。

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昨年末、安倍首相は「最低賃金を年3%程度引き上げ、全国加重平均で時給1千円を目指す」と表明しました。現在の全国平均最低賃金は798円で、安倍首相の表明通りに賃上げが進むと23年には1千円に届く計算になります。衛生士不足の歯科で、戦力とされる助手の現在の全国平均時給は900円程度、地方では800円程度ですから、阿部首相の言うところの時給1千円を達成すると、助手の全国平均時給は1130円程度に上がる計算になり、現在の衛生士の全国平均時給とあまり変わらなくなります。

さらにデフレ脱却を目指す安倍政権では、「2%の物価上昇目標」を掲げているため最低賃金を3%程度引き上げしなければ、実質賃金は減ることになります。歯科でこの賃金3%アップを達成することができるでしょうか。15年の医療経済実態調査によると、賃金の3%アップをクリアできたのは衛生士だけで、前年と比べて3.3%アップで平均年収2,748,568円でした。因みに院長が−2.2%で12,715,798円、勤務医が2.4%で6,016,058円、助手が0.8%で2,587,178円です。歯科医院の従業員平均賃上げ率が約2.16%対して、医業収入の伸び率は0.4%です。その穴埋めの一端が、院長収入の−2.2%減に現れています。歯科の収益伸び率からアベノミクスの賃上げ率を達成するには、収益増が見込めない現在、院長収入(法人利益)減と設備投資期間の長期化といった経費減で賄っていかなければ、他の産業と伍して人材を確保することは難しくなる計算です。

かくして歯科従業員の賃金アップを支えたとしても、所得税や住民税についての定率減税が半減され、さらに廃止されていきますから、従業員には毎月数千円も増税になります。様々な所得控除が廃止されることによって、収入の中で課税される金額が増えています。年収300万円の衛生士の場合を試算してみると、ひと月約7,000円以上の増税になります。さらに厚生年金の保険料も毎年値上がりしていますから、衛生士の生活水準を維持していくためには、毎年約8,000円の賃上げが必要になります。

15年の「中小企業雇用状況調査」によれば、中小企業全体の40.9%が2,000~5,000円の賃金上げ、11.6%の企業が2,000円未満でした。この数字に対して昨年の衛生士の平均賃上げ金額は約7,000円と高くなっています。平成28年度から「かかりつけ歯科医機能強化型診療所」の新設によって、衛生士の配置は医業収入に関わる比重が高くなってきます。衛生士はますます争奪戦となり、賃上げは毎年10,000円程度しなければ衛生士を確保できなくなるかも知れません。これからの安倍政権下での「賃金」「税金」「保険改定」では、予防型歯科医院は今まで以上に経営力が問われることになるでしょう。