歯科の医療広告ガイドライン

コンサルブログ | 2017年7月8日

脱毛や脂肪吸引などの美容医療の受診トラブルが頻発していることは、メディアの報道からも周知のことです。美容医療のトラブル相談は、内閣消費者委員会によると2011年度約1600件から、2014年度約2600件と急増しており、このような事態を受けて、厚生労働省はホームページ(以下HP)の広告規制の検討会を立ち上げることになりました。現在は、利用者が自ら検索して閲覧するHPは広告規制の対象外となっており、医療機関の自主規制に任せられています。

次に、歯科医院HPで医療広告ガイドラインに抵触しながらもよく使われている具体的な例や表現を列挙してみます。

  • 加工修正した術前術後の写真の掲載
  • 著名人との関係の強調/○○プロダクションと提携
  • 「絶対安全なインプラントを提供します」
  • 「他院で断られた難しい症例も成功します」「1日で全ての治療が終わります」
  • 「当院は○○研究所を併設しています」「○○センター」
  • 「○○研究会最高顧問」「○○学界認定(活動実績のない)」
  • 「○○実績日本一」「No.1」「最高」「○%の満足度」
  • 「当院は県内一の歯科医数」「インビザライン、日本有数の実績」
  • 「無料相談された方に○○をプレゼント」「ただいまキャンペーン実施中」「○月までホワイトニング50%オフ」「○○し放題プラン」

上記表現以外に医療機関は、薬事法、健康増進法、不当景品類及不当表示防止法、不正競争防止法によって規制されます。

このような法規に照らして、最近ではインプラント以上に苦情件数が多いとされる矯正歯科のHPを検証してみました。検証の仕方は、HPのトップページ/コンセプト(相応)/スタッフ紹介(経歴等)/治療についての4ページに限定して、上位表示されるある矯正歯科ポータルサイトのランキング1位~3位の11医院のHPを対象としました。

11医院の広告規制抵触表現の平均数が約4.5、上位ランクのHPほど違反数が多い傾向にありました。判断は私の主観に左右される部分もありますが、4ページ限定でも多くの違反と思われる表現があり、他のページやブログ、貼られているバナーなどを検証していけばさらに違反箇所は増えることはまちがいないと思います。今回検証したHPは誘引性と誇大表現の塊にも関わらず、SEO対策を施していることから上位表示されています。このようなHPが、生活者の眼に留まることで歯科医療トラブルは増えること傾向は否めないでしょう。

コピー20160311_違反表現箇所グラフ

因みに最高裁の公表データによると、2010年の医療訴訟件数は896件で、そのうち72件が歯科ですから、全体の8%を占め、内科、整形外科、産婦人科につぐ多さです。医療訴訟と聞くと、「治療ミス」を想像される向きも多いと思いますが、歯科の訴訟で多いのが「説明義務違反」の事例です。よくいわれる「情報の非対称性」により、歯科医師は患者が適切な治療方法を決定するために十分に情報を提供する「説明義務」を負っています。しかし、美容医療同様に患者情報の窓口となるHPが誘引と誇大表現の塊では、真っ当な患者説明などできるはずがありません。

医療訴訟全体はゆるやかな減少傾向にあるに拘わらず、歯科は徐々に増加傾向にあります。歯科医師とともに私たち歯科関連事業者も多いにこの数字を恥じ、生活者の理解を助け深める情報発信をしていかなければ、歯科の社会的評価は凋落していくことでしょう。