求人条件は「建物」を基準に

コンサルブログ | 2017年5月2日

歯科医師の話を聞くことが私の仕事ですが、1日に4人の歯科医師と会って、2時間おきに求人難についての相談となり辟易とした覚えもあります。それほどまでに、どこの医院でも求人には苦労しているわけです。

ほとんどの求人企業が、

  • 社会保障があること
  • 公定休日が診療日でないこと
  • 18:00終業

を、求職者が歯科へ集まる3要件としています。その他の条件として、残業が少ない、駅近、家族経営でないことなどが続きます。要は、丸の内OL待遇を低学歴でも認めてあげなさいと言うのが、求人企業の言い分です。

仮に低学歴高待遇を認めたとしても、このアドバイスに合点のいく歯科医師が何人いるでしょうか?超売り手市場の歯科労働環境の中で、丸の内OL待遇は既に当たり前となり求人のプロの答えとしては、お粗末にすぎる感は否めません。それと言うのも、不承不承認めざるを得ない高待遇でさえも、求職者の琴線に触れることはないことを、求人がルーティーンとなった歯科医院では、身を以て感じているからです。

話は横に逸れますが、先の3要件全てを満たすことのない歯科医院こそが、実は中小企業の一員として真っ当な判断をしているわけです。しかしその結果、求人費用はドブに金を捨てるが如くのアンビバレンツな状況に歯科界はなっています。その結果、事業内容と規模に準じた健全な雇用条件で求人活動する医院が、求人広告を出す以前に、医院の存続も含めて体制を考え直す時代を歯科界は迎えていることになります。

話を戻します。それでは求職者が求める最上位の雇用条件とはなんでしょうか?院長の人柄がよく、学べる環境が備わっていて、給与も良いなどと言うユートピアな話ではありません。

おおよそ千数百人の歯科スタッフから聞き取りした経験から、求職者は先の3要件よりも職場の「建物」に潜在的に惹かれ、最上位の就職条件としています。こんなことを言うと、「そんなことはない、やはり待遇がポイント」と、たいていの歯科医師から反論されます。しかし、待遇といっても、よっぽど悪かったり飛び抜けて良かったりする歯科医院は、情報化社会の中ではほとんどなく、たいていはある一定範囲に入ってくるため待遇は第一条件にはなりません。それよりも、求職者の感性に訴える建物がポイントになるのです。

明るくて清潔で少しオシャレな建物であったり、都市部のインテリジェントビルの中に存在していたりして、少し歩けば商業地域に出られる場所にある歯科医院ですと、先の3要件なんかは霞んでしまうのが求職者の習いのようです。
地方の医院でも同じことで、理想的な建物がその地域での理想的な場所にあって、ある程度以上の規模(ここが肝心)の歯科医院であれば求人には断然有利になります。

これは経験的にも言えることなのですが、特に若い頃は規模の小さな組織(会社)で、少人数で狭い場所で働いていると、世間の風に吹きさらされているような気分になってくるものです。そういう気分を救ってくれるのが建物の魅力なのです。会社の10年後を信じていない求職世代が、それでもなぜ大企業志向かと言えば、毎日来て働く場所の建物(と立地)の雰囲気を潜在的に重要視しているからに他なりません。あまり大っぴらに「建物が気に入って就職しました」とも言えないだけのことです。

歯科医院も企業と同じです。築35年の雑居ビル4階にある25坪の歯科医院に、求職者が「毎日来てもいいや」って気持ちなるでしょうか?平均給与より1~2万円高い報酬であっても、若い人ほど、そんな気持ちにならないのが自然なのです。

今までの地域歯科医院の給与水準を基準に求人条件を考えていては、歯科医院はいつまで経っても茹でガエル状態を抜け出すことはできません。
医院方針、待遇、教育環境も大切な条件ですが、それらすべては建物(インテリア・立地)に大きく影響されることを前提に求人条件と広告を考えてみてはいかがでしょうか。