都心患者層と受診目的の変化

コンサルブログ | 2016年2月26日

都心部の歯科医院から、この数年患者層が変わったと相談を受ける機会がありました。相談を受けた医院の立地は、80年代後半から90年代にかけて、「箱崎・八丁堀・新川」のオフィスビル開発が活発だったエリアにあります。現在このエリアは2000年代以降の湾岸開発地域「勝ちどき・月島・晴海」地域の東京駅方面からの入り口に位置しています。

開業して10年になるこの医院の患者層は、当初はオフィスビルで働くサラリーマン・OLが主体でしたが、ここ数年この地域のオフィスは、「豊洲・東雲・有明」「品川・大井町」といった2000年以降開発が進んだ湾岸エリアへの移転が目立ち、オフィスワーカーの患者が減り、地域住民と思われる患者が増えてきた感じがするとのことでした。確かにこのエリアの外部環境は、キリンビール本社跡地が高層マンションにとって変わったように、オフィスビルの立地にマンション建設が進んでいます。それに伴い患者層も変化しています。

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このような医院立地の外部環境→患者層→診療内容までの一連の変化を、医院アンケートから見てとることができます。オフィス街が住宅地化することによって、大きな流れとして「治療から予防へ」と患者の来院目的が変わってきたことが、2011年と2016年の患者アンケートの比較からも読み取れます。むし歯の治療が減り、検診やメンテナンスの目的の来院者が増えています(グラフ参照)。また、他院での治療の再治療が増えたのは、他地域からのマンション移住者による需要と予測されます。

★新川デンタル_アンケート)-1-1

次に医院のPR環境の変化として、2011年当時この医院のwebサイトはスマートフォン対応ではありませんでした。しかし、デスクトップパソコンを主として使用するオフィスワーカー中心の患者層には、スマートフォン対応としていない影響は少なく、来院者の22.4%が医院webサイトを認知経路の一つとして見ていました。しかし住宅地化した同地域では、スマートフォン対応でない同医院のwebサイトを見た来院者は、5.0%に留まっています。スマートフォンの普及と同時にオフィス街と住宅地の生活者では、webサイトを見る媒体が違うと感じざる得ない数字です。もちろんこの変化は端末の問題だけではないでしょうが、大きな要因と予測されます。

★新川デンタル_アンケート)-1-2

このように都市部の歯科医院は外部環境の変化によって、患者層そして最終的には受診傾向も変化してきますから、院内での“肌感覚”だけで医院経営を考えていては、見当違いの設備投資やPRになる可能性があります。

住宅地化によって治療の流れも2000年当初の

う蝕→修復→抜随(2次う蝕)→クラウン→抜歯→ブリッジ→義歯

から現在は

う蝕→修復→予防処置→2次う蝕の減少→メンテナンス

へと変化しています。

その流れに沿った設備投資や情報発信でなければ、生活者から必要とされない歯科医院になってしまうでしょう。

この地域、江戸時代は水運の中心地として栄え、江戸の経済を支えてきました。現在はオフィス街から住宅街へと大きく変貌してきたように、歯科医院の患者の気持ちも大きく変わってきたようです。江戸時代も現在も変わらないのはカモメの気持ちだけのようです。

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