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小六英介先生コラム「歯科医院内のコミュニケーション」

ことばを磨く2

ことばを磨く2

医学で言う「生活習慣病」は、ほとんどの症例が自覚症状がないまま進んでしまい、気がついた時は治療に手間どったり、重症になると治癒不能になってしまう怖い状態です。
ことばも同様で、知らず知らず自分のしゃべりの悪癖や、流行に左右されて遣つかっていることばが病的になっていることが多いのです。歯科医院の中でのコミュニケーションでこの状態が強くなりますと、事柄の内容も、心理的な面についても、伝わり方や印象が極端に悪くなるものです。手遅れにならないうちに手当した方が良いでしょう。

ことばの生活習慣病の予防

もともと日本語のはなしことばは、曖昧になりやすい特徴があります。その上に印象が悪くなるのは困りものです。どんな症候群があるのか、その治療方法などを探ってみます。たくさんある中のわずかな例です。

日常的な言い回しの習慣病的症候群
~じゃないですかぁ
テレビ番組で出演者が続発しますから、つい乗ってしまう言い回しです。
「駅前とかによくあるじゃないですかぁ」「~とよく言うじゃないですかぁ」

■原因A:明確に言い切る習慣がない。自信のない、ごまかし風の心理。
■原因B:相手に肯定の応答をしてもらうことを前提とした、勝手な押しつけの心理。
■原因C:こう言うことで流行の先端を走っているような気分になる、ミーハー的心理。

■治療A:絶対に言わないぞという決意がないと、ついつい出てしまいます。
■治療B:事実関係を確実に捉えて言い切る習慣をつける。不確実から来る弱気を除去する。
■治療C:どうしても言い切れなかったら、「駅前によくありますよね」「~とよく言いますでしょ?」として、ことばの原型に戻すことで治ります。
「じゃないですか病」の発作が連発すると相手は嫌になるジャナイデスカァ。

~て言うかぁ
婉曲表現のひとつですが断定、判定について自信がないか、わざと避けている症状。
■原因A:責任回避型の人に多く出ます。「これは、虫歯って言うかぁ、ミソッ歯って言うかぁ」では、はなはだ心もとないことです。
■原因B:最近は動機も原因もわからない事件が多すぎるのでつい頭の中に残ってしまうのです。社会的な悪いイメージかぶれです。
■治療A:業務内容に自信を持たなくてはいけません。師ということばがつく職業は、勉強・学習を怠ってはうまくないのです。
■治療B:歯科医師の表現ひとつで、患者の気持ちがこちらを向くか、そっぽを向くかですから、単なる思いつきで済ませないことです。専門用語を平明に言い直す訓練をしてみるとよろしい。簡単だと思う程、表現しにくいものです。
○う歯(むし歯とは?)○知歯(親不知とは?)○歯垢(歯牙の沈着物?)○歯石(?)○バキューム(?)これを総合すると一冊の本になりますね。

この他、つまらないところで、ついつい口をついて出る習慣性の症候群。
一応、とか、~かな?~という感じ
「まあ、歯周炎かな?(半疑問型)一応、歯石とかは取りますが、今のところ歯周病一歩手前ってェ感じですね。」
こうした表現のイメージは良くありません。若い歯科医さんは特に注意です。
■治療A:肝要なセンテンスをデス、マスで言い切ること。
■治療B:医業は科学です。的確に言えることが大切です。奇妙にボカさないことです。

説明するとは
①必要なことを、②必要な人に、③必要なだけ、④的確、簡潔に言い切ることです。
ことばの生活習慣病から脱出してください。

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心にひびく話しことば
スタッフの品格が高まる
心にひびく話しことば

小六英介著
ヒョーロン・パブリッシャーズ

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