癒しのことば

歯科医院内のコミュニケーション

癒しのことば

最近、巷でイヤシということばをよく耳にします。いわく、「癒しのことば」「癒しの音楽」「癒し系の人」「癒しの泉」などなど。
辞書をいくつかひいてみますと、イヤシは「癒す」、病気、苦しみ、悩みなどを治すとあり、「医す」とも書くようです。このことばが流行語になるぐらいですから、世の中にはイヤサレル人やそんな状況になっていることが多いというわけでしょう。現代人はほとんど病気なのですね。 癒しのことばの原点は「心」にあります。ただ、やさしく言えばとか、義務的な感覚では癒せないのです。歯科医院という小さな社会だから人間関係の繊細な心の行き交いが大切になります。相手をどのくらい、慮れるかです。それは自分の生活に大きくはね返ってくることを知るべきです。

注意表示・取扱説明書の確認

物品から治療に関する諸々の表示は、極めて冷たくて、理解できない、取扱いがはっきりしないものが多いものですが、大きな誤りがなければ、そのまま通りすぎてしまうケースが多いのです。しかし、それでは本来の目的は達成できず、場合によっては、問題になってしまいます。そこで、説明書などを渡された患者さん(消費者)がどのくらい、読んでいるのかというデータがあります。これは単純な数字ですから、どう読んだかそれによって何をしたのかなどは不明です。 ある歯科医院のスタッフが、新しい歯ブラシを患者さんに提供した時のことばづかいです。ちょっと注意して見てください。

「これは、Aさんの症状にはぴったりの品です。説明書がついてますから、よく読んで使ってください。」

次の週に来院した患者Aさんに

「書いてある通りにやりましたか?」
「前から言った通りにやらないとダメですよ。どんどんひどくなっちゃうから。」
「きょう、お帰りになったら、すぐやらなきゃあ知りませんよ。痛くなるかもよ。」
「早く治すためには、やっておかないといけないことがあるんです。甘くみない方がいいと思いますよ。」

フロントの人は、患者さんの苦痛を1日でも早く取り除いてあげようという、精神では「癒し」「医し」のつもりなのでしょうが、どうも考えているような結果は出ません。よく煙草をやめなさい、万病の毒ですからと言っても患者さんは守らないもので、わかっているのでしょうが人間というのは、良いことばかりはしないものです。そこで、患者さんにわかってもらう癒しの原点を整理してみました。

  1. おどしや否定的な表現は絶対にさける日本語の表現は、「どうしても~しなくてはダメ」、「~することが義務」、「そうしないとどうなるか、こわいことになる」といった恐怖観念を植えつけて事をそろえようという傾向があります。従って相手はカチンと来る。短絡的反抗心を生んでしまいます。
  2. 説明書などは、ちょっと書き換えるか、わかりやすく口頭で言いなおすこと。
  3. 項目を短いセンテンスで表現するデス、マスで切ってしまう方が頭に入りやすいのです。ダラダラ表現しない。
  4. できる限り、イラスト、例示を使うことを考えてみる。この方が判然とすることが多いのです。これは説明する側のアイデアです。口腔の説明のイラストが少ないのはなぜなのかと思いますね。

「癒し」とは相手の納得が原点です。年齢差、経験差を検討しながらやってみてください。あなたが人間関係の融和をはかる、中心人物なのですから。