新年明けましておめでとうございます。
正月三が日は好天に恵まれましたが、なんだか目の前はもやもやした感じの歯科界です。

年末年始の休暇に入り、目を通すことなく山積みになっている業界誌を整理することが、ここ数年の習いになっています。子供の玩具整理同様に片付けの手は止まり、いつの間にか業界誌を読み入っています。ページをめくりながらこの10年余りの間、歯科医院の診療とサービスの質は格段に上がってきたと感じます。しかしその割には、歯科医院への生活者と国の評価は、一向に上がることがありませんでした。メディアに到っては常に歯科を批判の標的にしてきた10年でした。

この間を振り返るとCT、3D光学ミーリングマシーン、マイクロスコープなどに代表される医療機器と歯科材料の接着材や陶材が、歯科診療の質の底上げを先導してきました。つまり歯科理工学、大きな括りでいえば文明の利器によって歯科医院の質は向上してきたことになります。文明(歯科理工学)は、より速く・より精密に・より効率的に、歯科医師の手足に代わり良質な歯科医療をつくりあげてきたことになります。その反面、行きすぎた文明が人類を滅ぼすように、先行した歯科理工学によって、歯科医師は臨床においても経営サービスにおいても、あらゆる局面で物事を掘り下げて考えなくなり、医院文化が育たない10年間だったように思えます。

医院文化は文明(歯科理工学)とは正反対に位置して、より遅く・より深く・より非効率で、我慢や不便なものを乗り越えて成り立っています。だからこそ歯科医師は臨床力がつき、賢明になり心も豊かになり、良質な医療サービスを提供できるようになるのだと思います。こういった文化を感じることができる歯科医院が少なくなったことが、取りも直さず世間からの低評価に通じているのではないでしょうか。

そんな業界評価の中にあって、文明を取り入れながら揺るぎない文化も育ててきた医院もあります。先端の歯科医療を提供しながら、医療人としての考えや心構え、教養を深めるといった文化をしっかりと根付かせ、さらに後進の目標にもなっています。その代表格が酒田市の日吉歯科診療所と福岡市のつきやま歯科医院です。両医院は、単に職人的技術力を誇示したり、先端医療機によるサービス財をPRしたりすることなく、積み上げられたエビデンスと優秀な人材が医院文化を築いているために、生活者に留まらず同業者からもメディアからも評価されています。

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この両医院に関する仕事に、2015年から2016年にかけて多少なりとも携わらせていただいて、文化と文明のバランスの取れた医院を間近で見ることができ、文化的歯科医院の在り方を学び直す機会になりました。2016年は、この経験を多くの歯科医院に伝えていくことが、私たちの使命であり仕事の価値だと思っています。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

審美歯科には象牙色

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ぶらり一人で出歩く時には、都心部やベイエリアにある外資系ホテルにはどうも足が向かない。クリスマスイルミネーションが煌めき出すこの時期は尚のことだ。オオクラの別館が閉館した今、立ち寄るホテルは、江戸川橋・椿山荘と神楽坂・アグネス、お茶の水・山の上ホテルと皇居の鬼門に偏っている。中でも山の上ホテルは、今では有名な『てんぷら近藤』店主の若かりし職人時代、一席分を揚げ終わる都度に油を床下の容器に流す姿を「もったいないな」と貧乏臭い了見で、カウンタ−越しに見ていた時分から通っている。

私のコンサバティブな嗜好は、歯科医院のインテリアにも一脈通じ、デザイナーズ歯科医院と称されるインテリアが、なんだか軽薄な感じがして、居ること数分で疲労感に襲われる。この手のインテリアは『商店建築』で見れば十分で、何回も通う気にはなれないのは、私だけではないだろう。定期管理型歯科医院は、避けるのが無難なインテリアに思う。

同様にゴージャスな煌めきのイルミネーションにも食傷気味で、山の上ホテルの暗闇を引き裂くようなイルミネーションの方が、格段に洒落て感じる。審美を標榜する歯科医院も真っ白なインテリアを信奉して、真っ白な歯を最上とするばかりでは、頭の中まで真っ白と勘ぐられても仕方ない気がする。デザインに余白、イルミネーションに暗闇が必要なように、日本人の審美歯科医なら、透写されるアイボリーの美しさに気付いて欲しい。外資系ホテルのようなゴージャスな歯科医院はもう充分な気がする、山の上ホテルのような文化の香りを感じる歯科医院の出現が待ち遠しい。

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上野駅中央コンコースを通るたびに、今は亡き恩師の歯科医が、酔うと口ずさんでいた「ああ上野駅」が聞こえてくる。東京駅丸の内コンコースに比べ、薄暗く垢抜けない感じだが、高度成長期の昭和の匂いを残していてホッとする。

朝6時54分人影もまばらな中、クリスマスツリーと酉の市のポスターそして巨大なおかめの熊手、この異質なものが調和して存在できるのがこのコンコースの懐の深さだろう。

それは、自らの存在をことさらに主張しない器の魅力ともいえる。

駅舎の売店の新聞は、一斉にパリでのテロを報じている。国家レベルの戦争も個人の喧嘩もそしてテロも、対立が形を変えたものである。

対立は自らの存在が脅かされるところに、その根本的原因がある。私たちは「差別化」という言葉を良く使う。

それは「自己の存在意義」を「他者との差別化」から見出し、「他者からの承認」によって成立させている。

私たちは習いとして染みついた「差別化」を、往々にして「あなたとは違う」という言葉に代えて、自己の存在を主張しがちだ。

この「あなたとは違う」を繰り返すことで、知らず知らずに他者の存在を侵害している。

世界も組織も個人間も上野駅中央コンコースのような存在になるには、異質な者同士が優劣競う前に相互理解が必要に思う。

異質な者同士が生きるためには、上野駅中央コンコースで「ああ上野駅」を口ずさむのも悪くはない、と思いながら米沢に向かった。

落ち葉に見る組織

2015-10-25 10.39.18.jpg 事務所から歩いて7~8分の処に全長約400m 全幅約40mの桜並木が美しい播磨坂があります。
その播磨坂を事務所へ行く途中に通ると、前日からの夜来の風、冬の到来を告げる木枯らし1号が、並木坂の端っこに桜の葉を吹き寄せていました。吹き溜まった桜の葉を見ると、まだ緑色のものもあれば、紅赤、真紅、黄金色、黄土色と様々な色が織りなしています。

最近は組織論やリーダーについての本を読む機会が多いせいか、様々な色の落ち葉の美しさは、理想の組織の在り方に見えてきます。青葉も枯葉も美しく、組織における年代ごとの輝きの様を見るようです。どの色も主役であり脇役である落ち葉の吹き溜まりのような組織、理想ですね。

織りなす落ち葉の色に触発されてか、再び荻生徂徠の為政者(リーダー)は、人材はどう選びどう扱うかという芳賀徹氏(静岡県立美術館長)の文章が頭の中を反芻し、徂徠の卓越した見解が腑に落ちました。

 "人を雇うなら暴れ馬を採れ。初めからおとなしい秀才ばかりそろえたってだめだ。どこかで抵抗してくるような度胸や野心のある人間を取り立てて、その荒馬を乗りこなせ"と徂徠は上に立つ者の力量をも問いているわけです。

およそ300年の月日を越えて徂徠から現代のリーダーに突きつけられた言葉です。
徂徠の言わんとしていることは、現在の日本のリーダーにも、歯科界のリーダーにも、そして小組織の歯科院長であっても、リーダーには不変に求められることと思います。

IMG_0171.JPG去る5月31日に「病院がトヨタを超える日」などの著者で医療法人KNI理事長の北原茂美医師が主催する医療経団連の決起集会が丸ビルホールで開催されました。

当日、日吉歯科診療所の熊谷崇先生、株式会社オーラルケア代表取締役大竹喜一氏と参加してきました。

他業界からの参加者は医師、薬剤師など医療関係者に留まらず、IT関連企業、農林水産業、広告業、住宅メーカー、政界、法曹界、教育界など約250人(推定)と多岐に渡り、来賓として内閣官房医療戦略室参事藤本康二氏も出席されていました。

当初準備不足を懸念されていましたが、本会のコンセプトを共有するという基盤強化は達成できたのではないかと思います。



歯科から見た、医療経団連の意味

SKMBT_C28015060910050.jpg2030年には医療産業への就業者が944万人となり、国内最大の労働者人口になると推計されています。

しかし、国民皆保険の限界、医療費抑制政策、診療報酬制度という統制経済の縛りなど、医科・歯科が抱える問題は未解決のままです。

現在でも過重労働と低収入、社会・労働保険の未加入などの理由から人手不足の歯科ですが、今後診療報酬はさらに圧迫され、雇用状況が悪化することは明らかです。

歯科の政治的窓口の歯科医師連盟は、不透明なロビー活動により再び東京地検に摘発され、歯科への利益誘導は期待できない状況です。

この閉塞した現状に対して旧来の方法論で望むならば、歯科の収入減少には歯止めがかからず、それに伴い就業者の確保はますます難しくなり、日本社会全般に先行して歯科の二極化が進んでいくでしょう。

国も産業も格差から衰退が始まる傾向は歴史が証明するところです。

この傾向は他業界も同様ですが、労働基盤が脆弱な歯科は、各産業に先行して格差・衰退が進行していくと予想されています。



SKMBT_C28015060910061.jpgそれではこのような状況にある歯科が、医療経団連に参画するとどのような改革がなされ、どのような取り組みが求められるのでしょうか。

第一に、停滞する社会状況を歯科の括りだけではなく地域社会から見直し、歯科の立ち位置を歯科医師会や歯科流通機構といった旧体制から地域産業構造の中に移す意識が必要です。

つまり旧体制のネットワークから地域産業を主体とした広域ネットワークへと軸足を移すのです。

そして広域ネットワークを織り上げる多業種の人達(地域住民でもある)の活動を組み込むことで、歯科は国の制度で保護されている医療から独立独歩の生活産業へとシフトする環境に位置することができます。

産業化された歯科には多様な人材、進歩的な考え、先駆的なシステムが集まってきます。

同族化が進んだ旧体制の歯科では、院長の寿命が医院(会社)の寿命でしたが、多様な人材の流入による視点・環境・経営基盤の変化が、医科・歯科の企業体としての寿命を延ばします。

つまり医科・歯科の産業化の基盤が、歯科業界以外の視点から確立されてきます。

そして医科・歯科が広域ネットワークの中で医療サービスを提供する存在になると、旧来の国の加護の元での収入基盤に加え自由マーケットによる収入基盤を得ることになるでしょう。

ここで言う自由マーケットとは、例えばジルコニアをどのように説明してどのような値付けをするか、といった些末なHow Toでないことは言うまでもありません。

広域ネットワークの中で、医科・歯科はかつての自動車産業のように地域産業を取りまとめる横串になる産業に位置することが命題とされた自由マーケットです。

歯科はそこで多種多様な立場の人が集まる共感市場を形成する中核産業になることを目的とするのです。

共感市場の中で歯科は国民皆保険制度などの旧体制への依存から抜け出し、自立した医療サービス産業へと成長する道筋を得ることができるのです。



SKMBT_C28015060910040.jpg医科歯科の産業化へのロールモデルとして、医科では北原茂美先生の八王子国際病院と東京都八王子市との関係を挙げることができます。

そして既にそのモデルをカンボジア、ラオスへ『生活産業としての医療』として輸出するビジネス的な試みは、各界から注目を集めています。

歯科のロールモデルとしては、山形県酒田市・日吉歯科診療所の熊谷崇先生を挙げることができます。

酒田市民の口腔の健康を向上させたことに留まらず、旧態依然とした歯科の概念を変え、全国の歯科医院に新たな道筋を知らしめ、さらに庄内をベースに地域産業や大学などを取りまとめて地域を活性化させています。

このような取り組みは、従来の医療のイメージから逸脱しているかも知れませんが、旧体制の医療に比べて『幸せにできる人の総量』が圧倒的に多いことは言うまでもありません。

旧体制の医科・歯科に比べ、北原先生の病院、熊谷先生の診療所は、患者はもちろんのこと地域全般、周辺企業、医療関係者以外にも幸せを与えてきています。

それに比べ検察に摘発された歯科医師連盟のロビー活動に使われたお金は、歯科医師自らの幸せだけを求めた結果、歯科は反社会的な存在とされつつあることを忘れてなりません。



IMG_0172.JPGこのような先駆的な取り組みをしてきた北原先生は、医療経団連での医療の在り方を『いかにして人が良く生き良く死ぬか、その全てをプロデュースする総合生活産業』と再定義しています。

歯科においても『一本の歯を守る』ことから、『一本の歯を守ることで、人が良く生き良く死ぬかをプロデュースする』まで文脈を伸ばすことで、歯科は社会性を得て生活医療から生活産業へと市場を広げることができるのではないでしょうか。

文京区1階の物件紹介

■■文京区 1階■■

賃料 333,000円(税抜) 保証金 5ヶ月
面積 82.78㎡ 管理費 なし

最寄り駅の乗降客数
後楽園駅 97,348人(2013年度)
春日駅 53,797人(2011年度)
文京区の人口 208,542人
(H27年4月1日)
205,061人
(H26年4月1日)
在学者数 4,198人

平均所得
東京都 580万円
渋谷区 664万円
文京区 673万円

平均家賃
文京区 3LDK~4DKで 24.41万円
後楽園 31.37万円
葛飾区 11.84万円

商業施設はメトロ・エム(後楽園駅に隣接)や東京ドームシティ、ラクーア、大手高級スーパーマーケットなどで充実している一方で、小石川後楽園のように緑豊かな公園も多いです。新しいビルと古い商店街が混在しており、清潔感と懐かしさを感じる街です。新宿や渋谷に電車一本で行くことができ、利便性が高いです。

平日の昼間でも人通りが多く、会社員や学生、主婦、高齢者など様々な人々が行き交っていました。この商圏は東京都や全国の平均と比べて一人暮らしが多く、年代では20~40歳代が多く、高齢者が少ないです。昼間人口が41,922人なのに対し、夜間人口は31,370人ですので、平日はこの地域に通勤・通学をしている人が、休日は東京ドームシティなどの商業施設に訪れる人が多いのではないでしょうか。
また、文京区は他の地域と比べて教育機関が充実しており、犯罪率も少ないため、子育てには良い環境です。実際に、ある程度収入のあるファミリーが多く転入してきています。
予防などの定期管理はもちろん、文京区は東京都や渋谷区の平均と比べても所得が高いので自費診療に力を入れ、平日は忙しい若者のために夜間・休日診療を行うべきでしょう。この地域で夜間・休日診療に力を入れている所はあまりないので狙い目です。

後楽園駅からこの物件への行き方
後楽園駅の8番出口を出ると、目の前に東横インが見えます。そして、出口から右に曲がり、まっすぐ進みます。信号を渡り、まっすぐ進み続けると、ぱぱすという薬局があり、その隣にRestaurant soramameというレストランが入ったマンションがあります。そのマンションの前の短い横断歩道を渡り、またまっすぐ進み続けます。柳町幼稚園を通り過ぎ、横断歩道を渡るとLemaireというレストランがあります。そのレストランの隣がこの物件になります。

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歯科医師は「歯科村を捨てよ、町へ出よう」

 この数年、仕事で定期的に羽田空港発三沢行きの一便を利用しています。この便の搭乗者は、航空自衛隊と米空軍関係者、そして日本原燃などの原発関連企業関係者が大半を占め、日本の国策に日常的に関与している人の利用率では、おそらく国内便で一番ではないかと思います。だからといって離陸前後の機内は特別な緊張感があるわけではありませんが、三沢空港への着陸便から空軍兵士の敬礼のお出迎えを見る頃には、にわか国士の気分になっていきます。三沢空港の手荷物ゲートを出た右手には、ほぼ常設で寺山修司のコーナーが開設されていて、寺山の等身大のポスターの前を行き来する軍人と原発企業人の模様は、前衛と最前線が混じり合い緊張感が満ちてきます。

 寺山といえば、演劇好きでなくても「書を捨てよ、町へ出よう」のフレーズを誰しも聞いたことがあると思います。寺山や戯曲に関心がなくても、このフレーズから新しいものや人に出会い、いろいろな経験をしようという強いメッセージを感じることができます。ところが現在、こういったマインドを持つ人が私の周りには少なくなっています。それは、私自身が年をとり現状維持の意識が強くなったことも一因ですが、それにしても歯科業界関係者には、超安定志向が大勢を占めています。過去20年におよぶ業界の凋落傾向も、このあたりに原因があるのではないかと思います。

 歯科は法人といえども個人経営にすぎないため、大手企業に比べ経営は不安定で2~3ヶ月先の見通しも明るくはありません。だからこそ、いつも軍人と国策企業の最前線意識と寺山の前衛意識を内に秘めて、活気に満ちていなければやっていけないのではないでしょうか。停滞する日本経済の中で、今日でも起業家と呼ばれる人は、軍人や国策企業人同様の意識と寺山的マインドを持って試行錯誤と失敗を乗り越えて、事業を軌道に乗せています。凋落傾向の歯科業界の中にあって、もはや不測の事態などはなく、不測が常態になった環境の中で、前線・前衛意識を持って経営を楽しむぐらいの気持ちがなければ、歯科医師はとても続けられない職業になったのです。私自身も前線・前衛意識を持って、歯科医師の経営に深く関わるコンサルティングの原点に立ち返る2015年としていきます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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初島に志とエネルギーの高い歯科医師が集まる

OP倶楽部とは

歯科界の次世代を担う"知識と技術・心と感性"を備えたリーダー輩出するために、各界の有識者やリーダーをゲストに迎えての対話集会、Oral Physician 歯科医同士の意見交換の場として熊谷崇先生の発案で栃木県開業チョコレート歯科医院院長加藤広明先生が代表となりOP 倶楽部(おーぴーくらぶ)が発足しました。そのOP 倶楽部リーダー・ミーティングの発足会が、熱海のグランドエクシブ初島倶楽部にて、代表者の加藤先生、熊谷先生はじめ60名が参加し、開催されました。

私の挨拶

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倶楽部設立の趣旨を私が簡単に説明しました。少し長くなりますが、「歯科界の過去の繁栄は、経済成長と国民皆保険が原動力になってきたもので、歯科界や歯科医師会の努力の結実というよりは時代の産物であったことは、この20年間の低迷に手を打てていない状況を見れば明らかです。この膠着状態を打ち破るには、歯科村を飛び出して"強いリーダーシップと早い決断"ができるリーダーを輩出する会になって欲しい」といった内容のお話をさせていただきました。


詐欺師化する歯科界に一石

昨今の歯科界には、マイケルポーターの亜流のそのまた支流といったマーケティング手法が跋扈しています。流行の手法は「自由診療への誘導」「ITを使った集患」「キッズのビジネス化」などのアプローチで、いかに巧妙に患者を騙すかに執心しています。こういった狡知を考え出すコンサルタントも確かにワルには違いありませんが、それを加速させたのは本質を見失った歯科医師かもしれません。

コンサルタントの片棒を担ぐ歯科メーカーや出版社も含め、歯科界全体が詐欺師化の方向へ進んでいます。詐欺的なマーケティング手法の横行は、縮小した市場を前時代的意識と臨床体制で患者獲得競争に一石を投じるリーダーが歯科界にいないからだと思います。縮小市場に新たな市場を創造することは、歯科界の命題であることは自明のことですが、そのリーダーとなるべき人材の見極めが肝心なことは言うまでもありません。

しかし、価値をお金だけに置き、オレオレ詐欺のように巧みな心理操作で自由診療への誘導が上手い歯科医師を、勝ち組と賛美しているのが現在の歯科界です。こんな恥ずかしい状況を鑑みても、今回の次世代のリーダーを養成するOP倶楽部の発足は意義深く、期待は膨らむばかりです。そんな煮詰まった気持ちがあったからでしょうか、当日の演者と集まった歯科医師の声を聞いていると、澱んだ歯科村に涼風が吹き込んだような思いでした。(余談ですが、私のシニカルな発言にいくら批難を浴びても避難しないで歯科村に残る覚悟も涌いてきました)

ようやく予防の価値が歯科臨床に根付きつつある現在、マーケティングと歯科医療の本質を見極めることのできるリーダーを輩出して、歯科界はパラダイムシフトの1丁目1番地に立ったと言えるのではないでしょうか。

日吉歯科診療所理事長 熊谷崇氏のお話し

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歯科医師でない私から見た熊谷先生の魅力は、"強いリーダーシップと早い決断"、そしてダンディズムに尽きます。当日の挨拶も熊谷イズムを発散して、会場の歯科医師の気持ちを一気に高揚させていました。

その挨拶の中で印象的だったのは、「改革を促す者はその当事者と膝を交えて話し合い経過をフォローしなければならないが、その点が私には欠けていた」と仰っていたことです。

また、「予防を広めることはできたが、保険で行ってきため予防そのものの価値を上げることができなかった。

今年から予防を自費に切り替えてみて、今まで保険で予防を提供してきたスタッフの意識の在り方が変わった」という趣旨の発言は、健康保険制度の方向性を見極め、先件の明があると感じました。

30分程度のお話しでしたが、歯科医師を世知辛い歯科の現状に染まることなく、歯科の現状を高みから見る気持ちに導く様は、流石です。

OP倶楽部代表の歯科医師加藤大明氏の紹介

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軽妙洒脱な進行の中にキラリと光る一本どっこの精神。チョコレート歯科と命名する覚悟は決して甘いものではないことが、日経ビジネスオンラインの慶應義塾総合政策部教授上山信一氏との対談"歯科治療で始まるコペルニクス的転換"を読めば一目瞭然です。

今後の会の企画、運営には加藤氏の存在は欠かせません。当日の自己紹介で、MTMを都市部で実現することが大変と発言していた参加者(実は私もそう思っていましたが)に、間髪入れずに反論していた姿は印象的でした。

当日の演者・芳賀歯科矯正歯科クリニック院長芳賀剛氏

演題 「近況報告 ~改善と改革~」

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歯科大生の頃ユーラシア大陸放浪の旅をしながら"何でも見てやろう経験してみよう"とする沢木耕太郎ばりの学生時代の経験が、歯科医師芳賀剛さんの歯科医師としてのバックボーンになっています。東京に居る私からすると、郊外というよりは人がどこにいるのだろうと思う田舎で開業して、今では総勢16人のスタッフ体制の中規模歯科医院に発展。開業=場所と考えるステレオタイプな歯科医師には、ぜひ芳賀さんの話を聞いて欲しいものです。

当日の演者・岡山大学歯学部4年宇野修平氏

演題「なぜ私は年収1200万円をすて、歯科医師の道を選んだか」

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外資系大手企業での年収1200万と安定した将来を捨てて、歯科医師になった動機に、私たちの希釈された仕事魂は、打ちのめされました。忘れかけていた仕事の価値を見直す契機になった歯科医師も多いはずです。

宇野さんのような人材が歯科界に今後増えれば、既存の歯科医院の危機は単なる歯科医師過剰から、市場からの力量評価にステージが上がること間違いありません。

当日の演者・つきやま歯科医院理事長築山雄次氏

演題 「つきやま歯科医院の歩みと改革」

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いわずと知れた西の予防歯科の雄の築山先生が、「過去の私の予防はコミュニケーションの予防でした。もっとエビデンスを明確にした予防歯科が大切です」

と、仰った時は何とも言えない感動が押し寄せてきました。十分根拠のある歯科臨床を展開してこられた築山氏の謙虚に学ぶ姿勢には敬服です。

講演の内容では、産業歯科医として予防に取り組み、医療費を削減したお話は、秀逸でした。医療経済を考えるお役人を相手に、ぜひ講演をしていただきたいものです。

正月明けのネタ枯れの7日朝、朝日新聞1面に「歯科医院ポイント導入」「歯科医必死の囲い込み」の見出しが踊りました。すでにご存じのように、メディカル・コミュニケーションズ社が運営する「歯科に行こう」が、患者の囲い込みのために、口コミを書いた患者にポイントを与え商品券などと交換できる仕組みのことです。そのポイントの原資を歯科医院が買うという飲食店や小売店ではおなじみの手法を、歯科に持ち込んだわけです。

以前発覚した、国内最大規模のグルメサイト「食べログ」のランキングの不正操作を思い出します。複数の業者が特定の飲食店に対して好意的な口コミを投稿して報酬を得ていた構図と同じです。つまり、患者に気づかれないように歯科医院が集団でステルスマーケティングをおこなったわけです。これに対する朝日新聞の論調を要約すると、「来院促進して過剰診療による公的保険財源の無駄遣いをする歯科医院を許していいのか」といった内容でした。

是非論で言えば、保険医療機関の療養担当規制第2条の4" 保険医療機関は、その担当する療養の給付に関し、健康保険事業の健全な運営を損なうことのないよう努めなければならない。 (特定の保険薬局への誘導の禁止)"に抵触し違法行為で直ちに行政指導すべきです。

さらに違法性以前に、たかだか400/10,000医院とメディカル・コミュニケーションズ社の利益のために、この口コミサイトによって、99,600件の歯科医院がアウトローなイメージを重ねられたことに怒らなければなりません。

しかし怒れる99,600医院の救いは、「携帯電話で料理の写真を撮ることをためらわない輩の品性」と同じ次元で「歯科に行こう」の口コミを書くアンダーな患者が来院しないことでしょうか。負の連鎖臭を感じる患者は、400/10,000医院に任せておいて、アッパーな患者との関係を築いていきましょう。

年賀状大賞 2014

私の学生時代の先輩で、現在は東京のお茶の水で"さかなステュディオ"というデザインオフィスの経営者兼デザイナーの金子氏の年賀状です。金子さんはサッカーも天才肌、学力も東大まちがいなしと言われていた文武両道の生徒で校内では故・中村勘三郎さんと並ぶ有名人でした。現在はやはり早熟の才の辿る定石通り・・・子供の頃の煌めきを残しながらも堅実にデザイン事務所を経営しています。歯科のデザインもWelcomeですから、ご希望の方は伊藤までどうぞ。

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