開業は情熱だ

大田区で開業して2ヶ月経過した医院のコンサルティングを終えて医院を出ると、急に雨が降り出してきた。この医院の院長のほとばしる情熱の汗のような雨だ。一見、優男風なDRだが、短期•中期•長期に目標を時限設定していて、その目標達成に全精力をかけている。開業後、毎月50〜60人の新患が来院してきて順調だが、手綱さばきに弛みはない。

そういえば、一昨日開院した練馬区の医院も新患予約が約30人と好スタートを切った。この医院の院長も長身の好男子だが、目標設定が明確で、即決即断のリーダータイプ。この二人のルーキー院長に共通していることは、40代になった時の歯科医としての自分の在り方が明確なことだ。だからこそ、情熱を胸に厳しい今を戦える。このところ開業支援をしている若手歯科医は、見かけは草食系だが実は肉食系の好漢が多い。逆風が吹く歯科界にあって、成功するには肉食系の情熱が何より重要だ。

「情熱」という言葉は今日的でなく、「情報」という言葉に取って代わられた。巷にあふれる経営書にもリーダーの条件として、「情報力」「先見性」「決断力」「行動力」「コミュニケーション力」などが挙げられ、「情熱」は後じんを拝している。しかし、院長に求められる最も重要な資質は、なんといっても「情熱」だと思う。企業再生のプロ、日本電産の永守重信氏に「能力5倍、情熱100倍」という肚に落ちる言葉がある。人間の能力は上と下では5倍の違いしかないが、情熱の違いは100倍あると解釈している。零細な歯科医院経営には、ことのほか響く言葉だ。

「情熱」に火をつけることは、開業すれば火炎の勢いは違っても誰しもがすることだ。しかし、「情熱」の火を燃やし続けることは難しい。そのために時限的目標を何段階かに持つことは必要条件だが、それより大切なことは、「情熱の火を焚きつけてくれる人」の存在だ。こういった存在の人を求め出会うことが、厳しい経営環境の中で、歯科医師をライフワークとするには絶対条件だ。歯科界にいなければ、他流試合をしてでも見つけ出して欲しい。

院長には技術や知識が必要なことはいうまでもないが、それより重要なのが「情熱の火を焚きつけてくれる人」の存在だ。その存在が、歯科医院経営の正否を決するのだから。


はじめまして、クレセル株式会社代表取締役の伊藤日出男です。

日々マーケティング、とことん現場主義を大切にしています。

全国の歯科医院、開業候補地を飛び回り、院長とのやり取り、スタッフとの会話、若手歯科医師との開業前後の相談、歯科大生との交流から、見たこと・感じたこと・考えたことを、歯科界を取り巻く環境を踏まえてレポートしていきます。

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