歯科セミナー考

震災後、鉄道の復旧がまだ追いつかず東北地方のクライアント医院に伺うことが出来ない状況が続いている。東京にいる私は、新幹線が復旧しないことには、お手上げ状態だ。しかし、私が制約されるのは、せいぜい月1〜2回、当地の在来線の多くは復旧の目処がたたないことを思えば、不便を口にするのは全て東京中心に物事を考える奢りであろう。

東北地方のクライアントの訪問が延期され、少し時間にゆとりができたので、歯科雑誌をパラパラと流し読みをしてみる。不勉強な習いの私は、滅多に歯科雑誌を読まない。歯科業界に入った当時、総山孝雄先生の「歯学概論」と飯塚哲夫先生の「歯科医療とはなにか」を繰り返し読んだ。しかし、月刊の歯科雑誌は各論で構成されているため仕方がないが、編集コンセプトが希薄なため、退屈だ。雑誌巻末のセミナー広告を見ていた方が、歯科界のトレンドがわかって、まだましだ。

セミナー広告は、矯正とインプラント、そして世相を反映して経営セミナーが目につく。クライアントからも、スタッフ教育について「どのセミナーを受講すればいい」という質問を良くいただく。不勉強なため返事に窮すること度々。ひんしゅくを買うが、内心は「なんでもいい」と思っている。セミナーが実際に役にたつことなど、ごく稀なこと。セミナーは受講者のレベルや心構えで、その効果は大きく変わってしまうからだ。さらにセミナーによるインプット型のレベルアップは、受講者のモチベーションアップ以上にも以下にもならないと思ってさえいる。

以前、訪問先の医院で、モノになるのは厳しいな、と思っていたDHがいた。当時の彼女は、渋谷のセンター街で彷徨う女の子たちと外見は違わず、会話も幼稚で患者に信頼を得るような期待はできそうもなかった。しかし、度胸と積極性だけは、並々ならないモノがあり、私の関連するセミナーにも良く顔を出していた。そのうちセミナーの手伝いをしてもらい、多少の発言をしてもらうと、そのコメントがタイムリーなのだ。そんなことを繰り返しているうちに、彼女はDH対象のセミナーを主催するまでに成長した。彼女を成長させた原動力はセミナーでのインプットではなく、セミナーでのアウトプットだったのだと思う。

セミナーでインプット過剰になり消化不良を起させるよりも、アウトプットさせる場や媒体を与えることでスタッフは成長する。


はじめまして、クレセル株式会社代表取締役の伊藤日出男です。

日々マーケティング、とことん現場主義を大切にしています。

全国の歯科医院、開業候補地を飛び回り、院長とのやり取り、スタッフとの会話、若手歯科医師との開業前後の相談、歯科大生との交流から、見たこと・感じたこと・考えたことを、歯科界を取り巻く環境を踏まえてレポートしていきます。

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