歯科医院の参入障壁

東海道新幹線14・15番コンコース下のカフェテリアが以前からのお気に入りだ。なんということないカフェテリアだが、震災の影響で薄暗くなった趣が、欧州の駅のような感じを醸し出し、以前に増して落ち着く。今日は、大阪へのコンサルティングだ。大阪の歯科医院の停滞は、首都圏を先行すること10年あまり、大阪経済の低調に因を発しているためか、特効薬はなかなか見つからない。 今後、首都圏歯科医院もスタッフのキャスト化やイメージ戦略では、経ち行かなくなることは、大阪を見ていると容易に察しがつく。

昨年から毎月一軒のペースで、歯科医院をプロデユースしている。開業は低調と、メーカー各社の声が入ってくるが、弊社の顧問先に関してはとても元気な医院が多い。新規開業の歯科医だけではなく、分院展開の依頼も多い。あるデータによると、売り上げ8000万以上の上位医院の業績は前年比約8%増、中位•下位医院は停滞か下降とされるが、なるほど頷ける。新規開業のマーケティングからも、既存医院のコンサルティングからも、歯科医院経営とは、参入障壁を作り上げていくことに他ならないと、実感する毎日である。

新規医院はいかにして既存医院の参入障壁を超えられるか、既存医院は新規医院に超えることのできない医院を作り上げるかが経営である。定量調査が意味をなくしつつある現在、追う立場の新規医院は、立地優位性と価格戦略に胡座をかいている既存医院が多いエリアでの開業が成功へのファーストステップだ。反対に追われる立場の既存医院は、立地と価格は中長期的な参入障壁にはならないことを認識して欲しい。新規、既存の別に関係なく参入障壁を超える手段は「人材」と「お金」である。もちろん「技術」であったり「サービス」であったり、様々な要素で医院経営に違いはでてくる。しかし、技術を高めようにもサービス水準をあげようにも、すべて「お金」と「人材」がついてまわる。

立地を担保している多くの医院には「人材」と「技術」がない、技術を担保としている医院には「お金」と「サービス」がない。歯科医院経営は、まだまだ隙間だらけである。